中国の古典籍は、わが国では「漢籍」と呼ばれている。「漢籍」とは中国人の著作で、中国語(漢文)で書かれ、中国で出版された書物のことである。わが国にも多く輸入され、静嘉堂文庫や多くの図書館で所蔵されている。それでも、北京で中国国家図書館所蔵の「漢籍」を見たいと思っていた。
劉慶さん、應永會さんとともに、汪文さんの案内で中国国家図書館の敷地のなかにある中国国家典籍博物館へ。2014年9月10日に開館したそうなので、建物もまだ新しい。中国国家図書館の所蔵する中国の典籍が大量に展示されている。
常設展では、多くの典籍が、文学的な歴史、製本の歴史など、テーマ別に展示されていた。欣喜堂の「漢字書体二十四史」で参考にしている資料の原本がいくつか展示されているのでガン見してしまい、しばしばガラスケースに頭をぶつけてしまったぐらいだ。
このときの企画展は「宋元善拓展」と「甲骨文記憶展」をやっていた。「宋元善拓展」では、宋元代の拓本と現代の書家の臨書を並べて展示されていた。「甲骨文記憶展」も展示にいろいろ工夫していた。
2016年3月15日(火曜日) 国文学研究資料館
和書とは、江戸時代までに日本語(和文)で書かれた書物を指す。和本ともいう。和書を体系的に見ることができるのが「国文学研究資料館」展示室で開催されている通常展示「和書のさまざま」である。
和書について、「形態的、内容的な構成の説明」「各時代の写本・版本・古活字本の紹介」が体系的に展示されていてわかりやすい。さらに専門的ではあるが「和書の性質を判断する場合の問題」もいくつか取り上げていて興味深い。映像による展示もあり、全体を通して和書の基本知識を学ぶことができる。
「職人のいる文芸―中世から近世へ―」という特設展示もあった。「職人」とは広くさまざまな職業について働く人々のことを指すそうだ。『職人歌合』や『職人尽絵』が展示されていた。
展示室前には、実際に刊本を手にとって見ることのできるコーナーもあった。
中国国家典籍博物館に比べるとスケールは小さいが、日本の書物についての入門として、十分に満たされる展示になっている。