2017年02月13日

白澤書体で写植文字盤をつくろう(二)

簡易文字盤「四葉」をもちいて写真植字用の文字盤をつくるというプロジェクトのサンプルとして、 フィルムに原字(仮想ボディ48mm)をデザインしたものを縮小して、「簡易文字盤 文樹・四葉 デザイン用紙」に貼付してみた。

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デザイン用紙という名称であるが、「原版」に当たるものである。初期のころには紙の原版も用いられていたが、製品となるものはガラス製の原版であり、テスト用でもフィルム原版だった。簡易文字盤としては、この台紙が用意されていた。
原字48mmを12.75mmに縮小する。これも製品の原版とは異なる寸法である。あくまで簡易なので、ユーザーのためにやりやすくしたものと思われる。印刷されたピッチにセンター・トンボを合わせて、「白澤中明朝体」「白澤太ゴシック体」「白澤太アンチック体」それぞれを一文字ずつ切り離して貼り込んでいく。これを仮想ボディ4.25mmに縮小してネガフィルムにして貼り込めば、簡易文字盤「四葉」の完成となる。
簡易文字盤「四葉」はこのようにして作ったという追体験をすることがこのプロジェクトの目的である。今回作成した「原版」は、だいたいこのようなイメージになるという説明のために作成したものだ。印刷された台紙をコピーして作ったものなので精度が著しく劣る。実際に制作するときには、精度のいい台紙を新しくつくろうと思っている。
posted by 今田欣一 at 08:29| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月19日

[初心不可忘]新入社員教育のこと

私が新入社員として、株式会社写研に就職したのは今から40年ほど前の1977年4月1日のことだった。一週間の新入社員教育期間(会社概要とか就業規則とか)を終えてから原字制作の職場に配属された。すぐに仕事につくのではなく、約3ヶ月間にわたって研修をうけることになった。
その研修で、最初に実習したのは石井細明朝体である。石井細明朝体の書体見本が配られた。この書体見本は仮想ボディ48mmサイズで、基準となる12文字が並べられている。部首、画数などの参考となる代表的な字種である。これを観察して、課題の字種を描いていくのである。
もうひとつ実習したのは石井太ゴシック体である。書体見本12字に合わせて、この8字を練習した。この8字はすでにあるのだが、もちろんそれを見ることはできない。同じ書体を、同じ書体見本に合わせて、新入社員3名が同じ文字を描く。最初は石井太ゴシック体とは違うものになってしまうが、いろいろ指導をうけていくうちに、石井太ゴシック体となっていくのである。

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今このときに制作した原字(写真)をみると、まだまだだったと思うが、当時としては精一杯やった結果である。この新人研修のカリキュラムが、私にとっての書体制作の原点となっている。私だけではなく、写研の原字制作部門に配属されたすべての社員が経験しているので、同じような原字を保存しているはずである。そして、これらの原字からテスト文字盤を製作、テスト印字まで行われた(残念ながら、これらは持ち帰ることは認められなかった)。
その会社の書風に染まってしまうという人がいるが、そのようなことはない。書体見本のイメージでほかの文字を描くということであって、課題に石井細明朝体と石井太ゴシック体が与えられたということである。岩田明朝体やモトヤ明朝体であれば、その書体に合わせるということだ。
この新人研修のカリキュラムが、原字制作の初心者にとって、今でも有効な方法だと私は思っている。
posted by 今田欣一 at 12:50| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月20日

[初心不可忘]原点にかえって

石井茂吉(1887−1963)は、写真植字機を普及させるために必要な書体として、1930年から1935年までに、本文用の明朝体(のちの石井中明朝体+オールドスタイル小がな)、太ゴシック体(のちの石井太ゴシック体+小がな)、それにアンチック体(和字書体のみ)を制作しています。

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このうち「アンチック体」には漢字書体がありません。石井横太明朝体がこれに近いのではないかと思っています。

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書体設計の学習用プログラムとして、オリジナルの書体を試作してみることにしました。その新しい漢字書体を「白澤」と名付けました。白澤中明朝体、白澤太ゴシック体、そして白澤太アンチック体です。
中国で有徳の王の時代に現れるという想像上の神獣「白澤」。麒麟、鳳凰とくらべるとあまり知られていませんが、わが国でも魔除けや災難除けの御札になっているそうです。
posted by 今田欣一 at 21:02| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月21日

[初心不可忘]白澤中明朝体

『活字と機械』(野村宗十郎編輯、東京築地活版製造所、1914年)所収の五号明朝活字見本を結法の参考にすることにしました。この見本を48mmボディ・サイズに拡大し、これを見ながら下書きしています。

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●築地活版五号明朝活字見本
『活字と機械』(野村宗十郎編輯、東京築地活版製造所、1914年)より


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posted by 今田欣一 at 12:47| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月22日

[初心不可忘]白澤太ゴシック体

白澤中明朝体と同じく、『活字と機械』所収の五号ゴチック活字見本を結法の参考にすることにしました。この見本を48mmボディ・サイズに拡大し、これを見ながら下書きしました。

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●築地活版五号ゴチック活字見本
『活字と機械』(野村宗十郎編輯、東京築地活版製造所、1914年)より


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posted by 今田欣一 at 12:43| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする