2014年12月17日

初号活字をつくろう! December 2014

日時: 2014年12月14日(日) 17時30分−19時30分
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

ひらがな・カタカナの制作(仕上げ)
〈ひらがな〉
予定どおり3月までに印刷まで終わらせることにした。少し厳しい日程かもしれないが、わずか12字の原字制作に1年以上かかっており、これ以上長期化することによってモチベーションが低下することを心配するからである。
 今年6、7月にサンプル字種4文字でテストした方法で樹脂活字製作を行うことにした。品質に不満はあるが、費用の負担はかけられない。また今回はひらがなの原字を制作した担当者がそのまま、3Dデータまで作成することになった。
 はじめての体験なので不安を感じながらのラストスパートである。

原字制作以降の工程を、金属活字製作の工程と照らし合わせながらまとめておく。
[Adobe Illustratorによるデータ作成]
制作した原字をスキャンして、Adobe Illustratorでトレースしてアウトラインデータにする。できればコンピューターは使いたくないところだが、3Dプリンターによる樹脂活字を作るためにはやむをえない。金属活字に例えれば、亜鉛凹版を作成して活字パターンを製造する工程に相当するのだと思いながら作業をすすめることにしよう。
[Autodesk 123D Design によるデータ作成]
Adobe Illustratorで作成したアウトラインデータをSVG出力し、123D Designにインポートして3次元CADデータに加工し、Export STL でSTL出力する。強引にこじつければ、ベントン型活字母型彫刻機により、活字パターンからの活字母型の彫刻に相当する作業にあたる。
[3Dプリンターによる樹脂活字制作] 
自分の手で設計、データ化した3次元CADデータ(自分の手で設計・彫刻した活字母型ではなく)を使っての樹脂活字製作(活字鋳造ではなく)である。もちろん何本でも製作できるが、費用の関係でとりあえず1本のみ製作する。

※ひらがな48字の樹脂活字および印刷物は、3月中旬に開催する typeKIDS Exhibition Spring 2015 で展示する予定です。

〈カタカナ〉
3月までには目処がたたないので、止むを得ず先送りすることにした。

漢字書体の制作(下書き)
漢字書体も、ひとり12字ずつ分担して下書きを進めているが、こちらは自宅でも作業してきているので順調に進んでいる。それぞれのメンバーが下書きしたものにアドバイスしていると、順番待ちの状況になってしまい、写真を撮る余裕がなかった。

欧字書体の制作(予定)
欧字書体は、和字書体を担当しているメンバーが2015年4月から担当する予定である。分担を決めておいた。
posted by 今田欣一 at 08:35| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月19日

初号活字をつくろう! January 2015

日時: 2015年1月18日(日) 17時30分−19時30分
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

ひらがなの制作(仕上げ)
ひとり12文字ずつ4人で分担している「貘ボールド」のひらがな書体。ひととおり墨入れ、仕上げ作業まですすんだ。48文字を並べて、太さや大きさなどを担当者間で確認。

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初めての体験で、烏口や溝引きになかなか慣れず、思い通りにはできてはいない。月1回2時間(しかも出席できないことが多い)ということで、練習がおろそかになったようだ。やはり用具の使い方をきっちりやるべきだったのだろう。
 「ひらがな」をやってみたいということだったが、曲線の多い「ひらがな」を最初に制作することは難しかったのかもしれない。漢字から入って烏口や溝引きに慣れてからのほうがよかったのかなあと思う。
 今回は、原字制作の難しさを認識したことが成果だ。それでも、樹脂活字製作、活字組版、印刷までやってみることにした。とにかく全工程を体験することが第一段階の目的だということにしよう。
 これで終わりということではなく、もう一度チャレンジすべきではないかと、現状の原字を見ながら思っているところである。
posted by 今田欣一 at 22:27| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月16日

初号活字をつくろう! February 2015

日時: 2015年2月15日(日) 17時30分−19時30分
場所: 新宿区榎町地域センター 工芸美術室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

原字制作としては見切り発車だが、ひらがな48字は墨入れ、仕上げまで終わったことにして、3Dデータの作成へと進むことにした。
 手作業にこだわっている「貘1973」制作プロジェクトだが、この工程だけはパソコンの力を使わざるを得ない。とはいえ、どこかに依頼するのではなく、原字を制作した文字を担当者が自ら3Dデータ化するので、手作りに近い感覚である。

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昨年「謹賀新年」を作成した時のQuickTimeビデオを見ながら、Autodesk 123D Design での作業を確認。実質的には初めての作業となるので興味津々。

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Autodesk 123D Design で実際にデータを作成。さまざまな数値の設定に悪戦苦闘。

今月中に3Dプリンターでの活字製作、印刷までを終わらせる予定だ。3月9日からの typeKIDS Exhibition での展示に向かって奮闘努力。
posted by 今田欣一 at 11:06| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月08日

初号活字をつくろう! March 2015

●3Dプリンターによる樹脂活字製作
日時: 2015年2月22日(日) 16時45分集合
場所: 中野ブロードウェイ
    「あッ!3Dプリンター屋だッ!!」東京メイカー×ストーンスープ

今回はひらがな48本、漢字12本、計60本を製作するので、用意した3Dデータ(STLデータ)を東京メイカーに送り、出力しておいてもらった。素材は前回のテストで使用したのと同じABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを重合させてつくられる樹脂)だが、色はシルバーがなかったのでホワイトということになった。
予定の時間には出来上がっていて、無事に受け取ることができた。

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●Adana21J卓上活版印刷機による印刷
日時: 2015年2月28日(土) 12時45分集合
場所: 東京・表参道 東京アナログラボ
    
「いろはうた」を組んでみることにした。印刷機で一度には刷れないので、2回にわけることにした。

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●ひらがな1
いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ

●ひらがな2
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせすん


東京アナログラボ所有のAdana21Jにセットして印刷してみる。

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表面が平滑でないため、きれいに印刷できない。表面をサンド・ペーパーで削り、なめらかにしてみた。印刷を繰り返しながら調整していった。さらに、テープで微妙に高さを調整していくことになった。何度か試行錯誤を繰り返したがうまくいかない。
いまさらながらパーソナル3Dプリンターの限界を感じたのであった。活字は、微妙な高さの違い、傾きがあると、ちゃんと印刷できないのだ。活字のボディの大切さ、活字組版の難しさをあらためて思い知ったのである。

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それでもなんとかしたかった。どうしてもはっきりと印刷したかったので、1行ずつ版をわけて印刷することにした。何度も、何度も調整して、すべての行を印刷し終えた時には、はじめてから10時間以上が過ぎていた。

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漢字かな交じり文も印刷する予定だった。ところが画数の多い漢字はつぶれてしまっており、きちんと印刷できないということがわかった。また、時間的にもむずかしかったので、今回は試し刷りの段階までということになった。

激闘に驚き
いつしか永機は
東の囲まれた室て
毛辺紙を調へる
※永機(1823-1904)は幕末・明治の俳人、毛辺紙は竹を材料とした紙の種類のこと

書体見本の12字をすべて使い切り、ひらがなを重複させないでできるだけ多く使うという条件で作った文案である。濁音・半濁音の文字がないのでやや苦しいが、だいたいのイメージはつかめると思う。


●typeKIDS Exhibition 準備

日時: 2015年3月7日(土) 15時15分−17時15分
場所: 新宿区榎町地域センター 大会議室B

今月の例会は、展示の準備にあてた。

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印刷に使った樹脂活字をきれいに拭いて、ならべて固定していった。印刷物はカードケースに入れることにした。ひらがなの下書き、原字はもとより、できているところまでのカタカナ、漢字の下書きもファイルに入れて展示することにした。


●typeKIDS Exhibition 搬入

日時: 2015年3月7日(土) 18時集合
場所: 東京・表参道 表参道画廊+MUSÉE F
    
表参道に移動して、展示作業。「初号活字制作プロジェクト」のコーナーは、白い展示台ということになった。

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展示物
1 下書き、原字のファイル
2 3Dプリンターによる樹脂製活字 ひらがな48字、漢字12字
3 印刷物(いろはうた、漢字ひらがな交じり文)
4 説明文



●typeKIDS Exhibition 展示

会期: 2015年3月9日−14日(土) 12時−19時(最終日は17時)
場所: 東京・表参道 表参道画廊+MUSÉE F
    
(おわり)


お知らせ
本ブログでの連載記事「初号活字をつくろう!「貘1973」制作プロジェクト」は、今回をもって終了することになりました。
プロジェクト自体はまだまだ継続します。ひらがなだけではなく、カタカナ、漢字、さらには欧字の制作が進行中です。これらが揃ってこそ、日本語の活字組版が実現されることになるのです。
しかしながら、パーソナル3Dプリンターの限界を感じたので、今後は新たな活字製作の方法を模索して行くことになるでしょう。初号活字ということにこだわらずにチャレンジを続けていきたいと思います。

※ブログ「typeKIDS」でときどきレポートしますので、ひきつづきお読みいただきたいと思います。
posted by 今田欣一 at 10:08| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月18日

白澤書体で写植文字盤をつくろう(一)

簡易文字盤「四葉」をもちいて写真植字用の文字盤をつくるというプロジェクトのために、新しく試作しているのが「白澤中明朝体」「白澤太ゴシック体」「白澤太アンチック体」である。書体見本12文字について、フィルムに48mm角の原字でデザインしてみた。いずれはデジタルタイプに継承する可能性があると考えている。

白澤中明朝体

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写研・石井中明朝体と築地活版・五号明朝活字見本を結法の参考にした。

白澤太ゴシック体

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写研・石井太ゴシック体と築地活版・五号ゴチック活字見本を結法の参考にした。

白澤太アンチック体

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築地活版・五号明朝活字見本および五号ゴチック活字見本のイメージで、欧字書体のスラブ・セリフ体にあわせて、より現代的に解釈してデザインした。
posted by 今田欣一 at 10:54| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする