2014年02月10日

初号活字をつくろう! February 2014

日時: 2014年2月9日(日) 13時−15時
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

◎ひらがな・チーム
トレースのコツをつかんできたようだ。それぞれ12文字ずつ担当しているが、だいたいのカタチがとれるようになった。
「トレースしているだけなのに、なにか違うみたい」
たしかに、40年前に私が描いたラフ案に比べて、いくぶんまろやかになっている。ほかの人もそういう感じになっているので、これはこれでいいのではないかと思った。このイメージを大切にして、まとめていくことにした。
「ここのラインはそろえた方がいいのかな」
「この線は、もう少し長くしたい」
「このカーブのかたちは、こんな感じでいいの」
いろいろ前向きな声が出始めた。それを考えながら、説明しながらすすめていくことで、40年前には漠然としていたひらがなのデザインについて、整理ができてくるような気がする。

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◎カタカナ・チーム
カタカナ・チームは遅れ気味だったが、なんとかかたちになってきたようだ。
最初に分担を決めるとき、ひらがなをやってみたいというメンバーと、カタカナがやってみたいというメンバーがいた。じつはカタカナの方が、単純なだけにむずかしいかもしれない。どのようにまとめていけるのか、もう少し様子を見ていきたい。来月が楽しみだ。

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◎漢字と欧字は?
11月に、まず漢字書体から始めようということで、その分担を決めていたのだが、メンバーの希望もあって、和字書体(ひらがなとカタカナ)を優先させることになった。
とはいっても最終的には日本語の文章が組めるようにしたいのだ。和字書体の大きさを決めるためにも、漢字書体の書体見本字種ぐらいはあったほうがいい。そこで書体制作の経験があるメンバーのひとりにお願いして、書体見本字種12字の下書きをしてもらっている。

欧字書体はまったく手付かずである。やってみたい人を募集している!(もちろん、和字も、漢字も、募集中……)

参考:
メンバーのひとりが、かわいい(!)ライトボックスを持ってきた。なんでも小学館のコミック誌『ちゃお』3月号に、付録としてついていたとのこと。付録目当てに買ったそうだ。

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横90mm、縦108mmと小さいが、1文字ずつトレースするには十分なサイズだ。付録なりのチープさなのだが、短時間での使用ならばよさそうだった。
posted by 今田欣一 at 21:11| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月23日

初号活字をつくろう! March 2014

日時: 2014年3月23日(日) 13時−15時
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

◎「貘ライト」から「貘ボールド」へ
「貘1973」のもともとのウエイトは「ライト(細)」だった。これを「貘ライト」ということにする。このウエイトでは、活字書体制作の経験がない人にとっては難しいようだ。まだ始まったばかりなので、今ならウエイトの変更に対応できる。そこで、「貘1973」制作プロジェクトでは、ボールド(太)のウエイト、「貘ボールド」を先行して制作することにした。「貘ライト」は保留にしておく。

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◎ まずは4字を初号活字にしてみよう
ほとんどのメンバーが活字書体制作の経験がない。しかもすべて手作業でやってみようとしている。宿題としてやってくるにしても、月に1日、2時間だけのミーティングのなかでは簡単にできるというものではない。
そこで、「貘ボールド」で「謹賀新年」の4文字を制作し、なんらかの方法で初号活字にしてみようということになった。

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参考:
1 機械式活字父型・母型彫刻法(通称ベントン彫刻)
朗文堂 アダナ・プレス倶楽部の特別企画で、2008年秋に「実践活字母型彫刻」および「実践活字鋳造」が開催された。真映社・安形製作所・築地活字の協力のもとに、活字原図製作、活字パターン製造、ベントン型彫刻機による五号活字母型の彫刻を体験・見学するという企画であった。
1 活字原図製作(体験)と活字パターン製造(依頼)
2 ベントン型彫刻機による五号活字母型の彫刻(体験)
3 活字鋳造を依頼(見学)
現在では技術者がいなくなってしまったので、この方法での活字父型・母型彫刻はできなくなってしまったそうだ。

2 CAD(Computer Aided Design)方式の採用による活字母型製造法
CAD システムを駆使した日星鋳字行の活字母型製造法は、台湾・台北市にある活字版製造所、日星鋳字行代表の張介冠さんが取り組んでいる、現代のテクノロジー を採用したあたらしい活字母型の製造方法である。
朗文堂 アダナ・プレス倶楽部の活版カレッジでは、2012年秋に、その新しい技術を使った参加者オリジナルの初号活字の母型製作と鋳造活字の製造を体験されている。
1 活版カレッジ台湾旅行 新活字母型製造法を日星鋳字行でみる
2 台湾の活版印刷と活字鋳造 日星鋳字行+台湾グルメ、圓山大飯店、台湾夜市、飲茶

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「貘1973 プロジェクト」では、当初この方法での可能性をさぐっていた。しかしながら、コスト面などで実現までの道のりは遠いものであった。

3 3Dプリンターによる樹脂活字製造法
これまで記してきた方法はいずれも鉛活字だったが、父型、母型という概念から脱却し、活字の素材さえ変えてしまった新発想の活字が見つかった。グラフィック社の『デザインのひきだし』という雑誌の3Dプリンター特集記事のなかの企画で、実際に製作された3Dプリンターによる樹脂活字である。

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3Dプリントのオンラインサービスを行なっているインターカルチャーに依頼し、ABSライクという素材で出力している。この素材だと1mm以下の太さでは出力できないし、耐久性もまだ未知数だとのこと。ただ、サイズは正確で、印刷実験の結果も良好なので、試してみる価値はありそうだ。
posted by 今田欣一 at 19:59| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月08日

初号活字をつくろう! April 2014

日時: 2014年4月6日(日) 15時15分−17時15分
場所: 新宿区榎町地域センター 大会議室B
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

◎ひらがな・チーム(下書きの第一段階)
「貘ボールド」への変更があったにしても、半年経って、現在の進捗度はこんなところだ。活字書体制作の経験がある人から見れば、あまり進んでないように思えるかもしれない。自分の好きなスタイルを描くというのであればもっと簡単にできるのかもしれない。なにかに合わせるというのは、見本があるからやりやすそうに見えるが、実は意外と難しいことだ。少し時間はかかるかもしれないが、最終的には完成度の高いレベルまで作り込んでいきたい。

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◎ カタカナ・チーム(下書きの第一段階)
カタカナの制作は遅れ気味のうえに欠席のメンバーがいるので、まだ第一段階にも至っていない。

※保留となった「貘ライト」だが、見本として欲しいということになった。そこで、「貘ライト」については、私(今田)が、漢字書体と欧字書体も含めて、下書き、メーキャップ、墨入れ、仕上げまで制作しておくことにした。

◎ 樹脂活字に向けて
テスト用に制作した「貘ボールド」の4文字を、3Dプリンターによる樹脂活字にしてみようという試みがスタートした。

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紙に書いた原字を3Dプリンターで出力するためのプログラムを作る必要があるということらしい。その経験のあるメンバーが調査することになった。
posted by 今田欣一 at 08:29| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月12日

初号活字をつくろう! May 2014

日時: 2014年5月11日(日) 15時15分−17時15分
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

◎ 3Dデータ
サンプル4文字(季節外れの「謹賀新年」)の3Dデータ(STLデータ)ができてきた。意外と簡単にできたようだ。来月3Dプリンターで出力してみることになった。楽しみだ。サンプル字種だけでも形になると、制作にもますます力が入ることだろう。

◎ひらがな・カタカナの制作(下書き)
新メンバーが加わったことで、すべての字種の分担が確定した。進捗に個人差があるが、はやい人では、何度かのチェックを終えた。順次、メーキャップ、墨入れの工程へ向かうことになる。

ということで、次回は3Dプリンター出力体験会。

参考:
4月に、活版印刷体験、写真植字体験のワークショップがあいついで行なわれた。それぞれに typeKIDS のメンバーも参加したそうだ(写真は typeKIDS メンバーではない)。

〔活版印刷体験〕
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株式会社朗文堂主催「『欧文書体百花事典』普及版刊行記念特別連続講演会」(第2回)での活版ワークショップにて(4月20日、東洋美術学校)。

〔写真植字体験〕
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株式会社文字道主催「Moji Moji Party No.6 写植展」での写植ワークショップにて(4月26日、ギャラリー華音留)。
posted by 今田欣一 at 22:42| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月09日

初号活字をつくろう! June 2014

日時: 2014年6月8日(日) 16時45分集合
場所: 中野ブロードウェイ
    “「あッ!3Dプリンター屋だッ!!」東京メイカー×ストーンスープ”
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

今回参加したのは、typeKIDSのメンバー11人。中野ブロードウェイB1にある “「あッ!3Dプリンター屋だッ!!」東京メイカー×ストーンスープ”という、長い名前のお店だ。2014年2月3日にオープンしたばかりなので、案内板にも表示されていない。迷いながら、やっとたどりついた。

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◎これがパーソナル3Dプリンターだ!
サンプル4文字(季節外れの「謹賀新年」)の3Dデータ(STLデータ)は用意していた。Illustrator CC で平面形状を作って SVGで出力し、Autodesk 123D DesignでImport、平面を3D化して組み合わせ、STLを Exportという手順を踏んでいる。

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 使用する出力機は、産業用ではなく、低価格なパーソナル3Dプリンター。東京メイカーでは、パーソナル3Dプリンターに力を入れている。typeKIDSとしても、多くの字種を作りたいので高額になると困る。できるだけリーズナブルにしたいところだった。
 素材は、ABS樹脂。アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを重合させてつくられる樹脂だそうだ。色は鉛活字に近いシルバーを選んだ。


◎3Dプリンターが動き出した!
「年」のデータが2つ入って「賀」のデータがない!……という小さなトラブルはあったが、なんとか出力できる状態になった。わくわくしながら、パーソナル3Dプリンターが動きだすのを待った。
 パーソナル3Dプリンターが動きだした。4文字同時に、下から樹脂活字のかたちに積み上げられていく。場所が狭いので、メンバーがその様子を代わる代わる見守る。遠目に見ていると、きれいにできているように思えた。

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◎ところが……
 樹脂活字4文字が完成した。熱がさめるのを待つ時間がもどかしい。やっと手に取ってみると、残念なことに画質はガタガタ、表面は凹凸ではないか……。ノズルのピッチと線幅の干渉で、面が部分的に抜けてしまっている。

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 パーソナル3Dプリンターの限界が見えてしまったが、逆に可能性もわかってきた。課題を残して次回へつづく……といったところだ。今後も試行錯誤を繰り返しながら、オリジナルの樹脂活字を製作したい。
 途中で、裏文字にならないといけないのに表文字になっている……といったトラブルがあり、結局2時間かかってしまったが、実質1時間で出力できるということがわかった。機械使用料・材料費込みで1時間980円なので、1字あたりにすると240円ということになる。

◎印刷体験会へ
 課題の残った第1回目の試作だったが、ちゃんと印刷してみたいねという声がメンバーからあがった。ということで、印刷体験会を実施することで調整中である。

※この樹脂活字試作品は、下書き、紙原字とともに、moji moji party No.7 の会場にて展示いたします。
posted by 今田欣一 at 13:39| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする