日時: 2014年1月19日(日) 15時15分−17時15分
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト
◎やっと下書きが始まった
できあがってきた原字用紙のデータを薄手の紙にプリントアウトした「下書き用紙」が配布された。やっと鉛筆での下書きができる準備が整った。下書き用紙は2inchボディ・サイズで、1/18inch(約1.41mm)方眼で薄いブルーのガイドラインが入れられている。
このプロジェクトでは、40年前に私が描いた活字書体「貘1973」をベースにしようとしている。いわば、その復刻書体なのだ。4cm角サイズで描いていた下書きを、活字の原図サイズにあわせて2inch(5.08cm)角に拡大したものをトレースするということから始めることにした。
◎トレースがむずかしい
当面はトレースすればいいだけなのだが、やってみるとなかなか難しい。最初の1字から悪戦苦闘となった(少しオーバーだが……)。直線がきれいな直線にならず、円弧がきれいな円弧にならない。いまはパソコンで簡単にできることが、いざ手書きとなると、なかなか思い通りにはいかなくて歯がゆいようだった。
これは初心者だからということではない。最初から思い通りになるわけではなく、修整をくりかえしながら、カタチを整えていくわけである。そのための下書きなのだ。経験者はそれがわかっているから、もう少し大胆に描くことができるだけのことだ。
◎全体像をつかむ
もうひとつの理由として、原資料があり、しかもひらがな、カタカナをそれぞれ4名で分担しているので、全体的なイメージが見えていないということが挙げられる。まだ、目先の1字、いや目先の1本の線だけしか見えていないようだ。
あまり最初から自分の中での完成度に執着しすぎると、全体的な雰囲気とか大きさとか太さとかを調整するときに、気楽に直せなくなるかもしれない。いきなり下書きをはじめたが、この書体がどういう書体であるかということをもう一度確認して、メンバー全員が共有しておく必要があった。来月、再確認しよう。
創作的なことではなく、職人的な体験をするというのが趣旨である。いろいろ試行錯誤しながら、すすめていくことにしよう。
で、この日の時間内には最初の1字もできなかった。「まあ、きょうは練習ということで……」と言っては見たものの、どうなることやら。
参考:
すべてアナログで制作するということになったので、原字制作の道具を揃える必要が出てきた。とりあえず、昔使っていた道具について説明したが、専門的にやるわけではないので、所持していないものは何かで代用できないか検討した。

活字書体制作にはライトテーブルが必要なのだが、買ってもらうほどではない。100均で売っている乾電池式のLEDプッシュライトが使えないかと思いついた。100均で売っているポリプロビレン製の収納箱に、このLEDプッシュライトを入れてみたところ、それなりの強度があり、トレースするには十分な明るさもあった。乾電池を含めても315円の簡易ライトテーブルである。