今までは手書きで描かれていたのですが、私が担当なので、せっかくだから写植でやろうと考えました。制作していた「秀英明朝」と「かな民友明朝」で組んでみようと思い、直接、部内の写植オペレーターに印字を頼みました。私用ではなく、会社の業務なのだからいいだろうと簡単に考えていました。出来上がったポスターは、安全衛生委員長である労務部長を通して、全部署にコピーが貼り出されました。
ところが、それを見た文字部長に呼び出され、こっぴどく叱られました。私のミスなので仕方ありません。結局、次回からは、私が写植指定をして、労務部長に印字依頼の伝票を起票してもらい、文字部長に承認印をもらい、それで写植オペレーターが印字するという(前例はありませんでしたが)正規のルートでやってもらえることになりました(労務部長に慰められました……)。印字物は、やはり労務部長を経由して、私の手元に届きます。
それで、なんとか1年間続けることができました。そういう思い出もあり、「秀英明朝」と「かな民友明朝」の最初の使用例でもあるので、今も大事に保存しています。
ちなみに「かな民友明朝」と組み合わせる漢字書体は「秀英明朝」を想定しています。『文字盤見本帳』や当時の記事などにも「かな民友明朝は秀英明朝の漢字と組み合わせてください」と書かれていますし、かな民友明朝の文字盤に入っている約物類は秀英明朝と共有しています。