2023年07月27日

[追想序]ある先輩

私をタイプフェイスデザインに誘ってくれた本は『書体デザイン』(桑山弥三郎著、グラフィック社、1971年)ですが、実はもう一冊、忘れてはならない本があります。『新書体』(桑山弥三郎著、柏書房、1973年)です。
この本には、中村征宏さんの「ナール」、鈴木勉さんの「スーボ」、小塚昌彦さんの「ピコ・カジュアル」、酒井正さんの「明石」などと並んで、菅昌克さんの「アリス・オープン」が掲載されていました。

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菅昌克さんは、九州産業大学芸術学部デザイン学科を卒業されています。芸術学部は1966年4月に設置されていますので、最初の卒業生だと思います。私の7年先輩にあたります。地方の大学の学生にとって、東京で活躍されている先輩は憧れの存在でした。そして、タイプフェイスデザインを強く意識するようになるひとつのきっかけでもあったのです。
菅さんは「石井賞創作タイプフェイスコンテスト」にも多く出品され、第2回(1972年)佳作、第3回(1974年)3位(谷道実さん、丹野正則さんと連名)、第4回(1976年)佳作(中園勝さん、鴨野実さんと連名)と、ずっと入選されていました。
私が応募するようになってからも、第5回(1978年)佳作(鴨野実さんと連名)、第7回(1982年)3位と入選されていますが、おそらく表彰式には出席されていなかったようで、一度もお会いしたことはありません。

posted by 今田欣一 at 09:09| 活字書体打ち明け話・序 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする