1995年の広告では、本蘭アンチックU(本蘭A明朝U)、本蘭ゴシックUと並んで、ナールUが掲載されています。「Uの時代」としてウルトラボールドのウエイトを取り上げていますが、いずれの書体もファミリーとして計画されていました。
今からみれば、本蘭アンチック、本蘭ゴシックと来たら、「本蘭丸ゴシック」を並べたいと思われるかもしれません。しかしながら、当時、丸ゴシック体といえばナールファミリーが人気だったので、ゴナに匹敵するファミリー化を進めることにしました。
ですので、本蘭丸ゴシックUの発想すらありませんでした。どこを探しても「本蘭丸ゴシック」という名称すら見つからないと思います。
本蘭丸ゴシックが企画されなかったもう一つの理由として、同時期に平成丸ゴシックを制作していたことが挙げられます。結果的に、私が直接制作したのは、この平成丸ゴシックの和字書体だけということになりました。
平成丸ゴシックがあれば、あえて本蘭丸ゴシックを制作する必要性がなかったというだと思います。平成丸ゴシックは写研からは発売されませんでしたが、多くのベンダーから、平成明朝、平成ゴシックとともに発売されています。