もう半世紀近く前のことですし、社員としての仕事ですので、手元に何の資料もありません。現在のところ唯一の手がかりが『「ヘルベチカ」の本』(大谷秀映著、エムディエヌコーポレーション、2005年)にあります。
巻頭ビジュアルには文字盤の写真も掲載されています。
注目したのは、活字の清刷り(p.35)です。ハース社からこのような清刷りが送られてきたなあと懐かしく思い出されます。写研の「ヘルベチカ」は、活字清刷りを80mmタイプサイズに拡大して修整することによって制作されました。
写研の欧字書体は、手動写真植字機文字盤のために設計されています。それ以外で使うには不完全な状態です。残念ながら、生き延びることはできないでしょう。せいぜい現在わずかに稼働している手動写真植字機で印字するぐらいしかないと思います。