この頃は、これぐらいの字数を試作してフォントメーカーにプレゼンし、採用になったら契約し、制作費をもらいながら月単位で納品していくというやり方でした。当時はポップ系書体が求められていたので、いくつかの書体を提案したのを覚えています。
採用になったのは、「ぽっくる」だけでした。「ぽっくる」はリョービイマジクス株式会社と契約して制作しました。現在は株式会社モリサワに譲渡されています。
大体不採用でしたが、この書体の「企画提案書」が残されていました。他は捨ててしまいました。他の書体もMOにはあると思うのですが、今は見ることができません。まあ、不採用になるレベルの書体でしたね……。
ただ、こういった積み重ねが、RA宋朝体、RA楷書体、RA隷書体、のちの「花胡蝶」「花蓮華」「花牡丹」の和字書体制作へとつながっていったのだと思います。
鶴ヶ島市庁舎落成記念「創生」(1982年、小坂圭二制作)×「花胡蝶」
鶴ヶ島市庁舎落成記念「朝凪」(1990年、本子汲五制作)×「花蓮華」
鶴ヶ島市庁舎落成記念「ゆめ」(1990年、横山時二制作)×「花牡丹」