2020年10月27日

「小学館アンチック」

BR03-14.jpg

紙媒体での百科事典や辞書などは、もうあまり売れないのではないかと思いきや、どうもそうではないらしい。とりわけ小学生向けは好調だという。
「これ一冊で小学生の疑問をぜんぶ解決!」というキャッチフレーズで、2013年11月に発売された1冊ものの小学百科事典『きっずジャポニカ新版』(尾木直樹・平田オリザ・福岡伸一監修、小学館、2013年11月28日)もそのひとつである。
おもな教科はもちろん、政治、国際情勢、あるいは自然など、小学生が知りたい疑問が1冊にまとめられ、すぐにさがすことができるので、自分で解決することができる。カラーイラスト、図解、写真なども豊富だ。漢字はすべてふりがな付きなので小学1年生から使え、大人気分を味わわせてくれるようである。
『きっずジャポニカ新版』の見出しに使われているのが、「小学館アンチック」という書体である。もともと『例解学習国語辞典 第九版』(金田一京助編、小学館、2010年11月19日)のために、小学館国語辞典編集部からの依頼により欣喜堂で新しく制作したアンチック体である。
最近ではゴシック体で組まれることが多くなってきたようだが、少し前まではほとんどの辞書がアンチック体で組まれていた。当時の国語辞典編集部ではアンチック体にたいする思い入れがあったようだ。
「小学館アンチック」は『例解学習国語辞典 第八版』で使われていたアンチック体を参考に、国語辞典編集部の要望を反映させながら制作した。とくに、トメ・ハネ・ハライの書き方は国語辞典編集部の指示に従って設計した。見やすいという評価をいただいていることに安堵している。
posted by 今田欣一 at 06:46| 活字書体の履歴書・第3章(1994–2003) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする