2020年10月24日

国際的なコーポレート・タイプのために

企業のブランディング戦略において、コーポレート・タイプはその重要な一部になっている。グローバルな展開を図ろうとする企業では、従来のラテン文字、ギリシャ文字、キリル文字だけではなく、アラビア文字、ヘブライ文字、中国・台湾・日本などの漢字や、日本の和字書体、あるいは韓国のハングル文字も必要とされるようになってきた。
さらに、世界中のすべての通信のためには、デジタル・メディア(モバイル・デバイスやウェブ)で使用するためのコーポレート・タイプを設計しなければならない。企業のイメージを反映し、その要望や使用目的に適った書体開発によってアイデンティティを表現することで、強力なブランディングのツールとなるのだ。
たとえば欧米のタイプ・ファウンダリーが国際的なクライアントからコーポレート・タイプを受注した場合、漢字の書体を台湾や香港のタイプ・ファウンダリーと提携して制作することが考えられる。さらには、和字書体を日本に、ハングル書体を韓国に委託制作することが効率的だろう。
現在のコーポレート・タイプ設計においては、様々なウエイトが必要である。ディスプレイ・タイプは、タイトルなど大きなサイズのブランディング環境のために必要である。ボディ・タイプは画面表示をカバーするために必要である。さらに、その中間に複数のウエイト・ファミリーを備えなければならない。
日本のタイプ・デザイナーが、欧米のタイプ・ファウンダリー、台湾や香港のタイプ・ファウンダリーのデザインとエンジニアリング・チームと協力して、欧米で制作されるラテン文字、台湾や香港で制作される漢字にあわせて、それにマッチする和字書体の設計を担当することもありそうだ。
新しいブランディング・システムとコーポレート・タイプは、世界的規模で展開される。欧米のタイプ・ファウンダリーから見れば、欧字書体が中心であり、従属漢字、従属和字という考え方をとるだろう。日本語での書体の感覚とは異なっている。さらに漢字書体についても、台湾や香港などのタイプ・ファウンダリーと意見を闘わすこともあるだろう。
私も2013年1月にD社と契約を取り交わした。書体設計も国際的になっている。これからは日本のタイプ・デザイナーも国際的な視野を持って、英語(あるいは中国語)でのコミュニケーション能力が必要不可欠の素養となっていくにちがいない。英語は中学から高校、大学と8年間も学ぶ機会があったし、中国語も二年間学習している。にもかかわらず、私は英語も中国語もまったくできない。それでも何とかなっているのは奇跡だ。
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