2020年10月23日

手探りのなかのデバイス・タイプ

デジタル家電では情報表示が重要な機能となっていて、液晶ディスプレイを搭載することがあたりまえのようになっている。サイズが大きくなり解像度も高くなりつつなかで、そういった画面にふさわしい書体が望まれている。エンベッド・フォントと言うやつだ。
デジタル家電といっても、携帯電話などの通信機器からデジタルテレビ、住宅用ホームメディア・センター、ナビゲーション・システムまで大小さまざまである。画面サイズ、解像度のレベル、装置の特性などが違ってくるのだ。また、同一製品であっても、操作モードによっては表示文字の大きさが違う。
さらに世界多言語対応も条件のひとつになっている。その製品を、世界各国で販売するためには、多くの言語で文字を表示できる必要があるのだ。いわゆる多国語フォント化であり、各国語に合わせたデザインを求められる。
このような組み込みフォントの分野で、日本国内で大きなシェアを持っているA社からの発注で、同社の漢字書体に合わせた和字書体を制作した。新しいテクノロジーについては手探りの状態だったが、そんな環境のなか日本語で表示されるデジタル家電のために設計したのである。
posted by 今田欣一 at 08:22| 活字書体の履歴書・第3章(1994–2003) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする