2020年10月17日

「イマリス」

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会社設立の少し前のことである。デジタルパブリッシング・ジャーナリストの柴田忠男さんから取材の申し込みがあった。
そのときの記事が『日経デザイン』(1997年1月号)の「デジタルフォント開発の現場から」である。株式会社タイプバンク(現在は株式会社モリサワに吸収合併)、有限会社字游工房などとならんで、私(会社設立準備中だったので個人名になっている)も取り上げていただいたのだ。
ここに提案しているオリジナルタイプフェースは、人間味を大切にしているという。デジタルの時代でも、文字は人間の手が生み出すものだと考えているそうだ。フォントベンダーに気に入ってもらえれば、独占的使用許諾の契約を結び、開発費用を出してもらうわけである。幸い一部の書体のフォント化が実現しそうである。

ここに書かれている「一部の書体のフォント化」とあるのは、カジュアルなイメージの「イマリス」という書体のことだ。制作中の段階であったが、『日本タイポグラフィ年鑑1997』(日本タイポグラフィ協会編、グラフィック社、1997年)にも掲載された。
「イマリス」は、1997年から1998年にかけて株式会社ニィス(現在はエヌアイシィ株式会社=長竹産業グループ)の依頼で制作した書体である。もう20年前のことになる。
当時、株式会社ニィスでは「ニィス・カラーフォント『彩色主義』」という企画をすすめていた。カラーフォントの具体的な仕様については承知していないが、「イマリス」はその企画による依頼だった。
古い写真や資料を整理していたところ、その時にいただいたサンプルCDと、「イマリス」のプレゼン用の見本が出てきた。そのころはカラープリンターを所有していなかったので、Tooに持ち込んで出力してもらった。
株式会社ニィスの指定で、EPSデータに書き出したものを納品し、月ごとに制作した字数に応じて制作費が支払われた。1998年11月の制作終了時になって、やっと制作契約書を取り交わした。しかしながら、20年が経過した今もリリースされたという話はないので、幻の書体となったようである。そして20年の販売契約期間も終わっている。
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