2020年10月14日

「いぬまる吉備楷書W3」

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第14回石井賞創作タイプフェイスコンテスト応募書体は2位に入った。応募のときの条件でやむを得ないことだが、この書体の商品化の権利は主催者に帰属することになっていた。そこで、自分の筆跡ではあるが異なる書風で書き直してみた。とりあえず漢字1,000字余だけの試用版を制作し、これを「欣喜楷書・試用版」と呼んだ。これが完成したのは2001年のことである。

「漢字エディットキット」というアプリケーション・ソフトウェアが1997年秋に発売された。フォントグラファー(Fontographer)の正規ユーザーを対象にした優待価格ですぐに購入した。これにより、特別なツールを使わなくても日本語のデジタル・タイプを作成でき、日本語の文章でテストができるようになった。さらには、商品化でき、販売できる道が開けたことも大きかった。
ちょうど日本語フォントが作成できるツールが市販され、有限会社タイプラボなどがメーカーを介さないで自社で商品化までおこない、さらにインターネットを通じて直接販売することを始めていた。そこで弊社でもということになった。のちに「ほしくずや」として他のダウンロード・サイトへ展開していくことになる。現在の「ほしくずやコレクション」である。

「欣喜楷書・試用版」は紆余曲折の道をたどる。『近代孔版技術講座基礎科第1部テキスト』(実務教育研究所孔版指導部編集、財団法人実務教育研究所、1971年)に掲載されていた楷書体を参考にした。漢字書体は『書道教範』(井上千圃書、1933年、文洋社)のペン字手本を参考にして、「欣喜楷書・試用版」を全面的に見直し、「欣喜真」に変更した。さらに『中国硬筆書法字典』(司恵国・王玉孝主編、2003年、世界図書出版公司北京公司)も参考にして改作した。
その後、原点に立ち返って「欣喜楷書・試用版」から見直し、「いぬまる吉備楷書W3」として継続している。
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