2020年08月15日

[余聞2]石井中太ゴシックと石井中太ゴシックLと本蘭ゴシックと

サプトン用に本蘭細明朝体が開発されたときに、ペアとなる見出し用のゴシック体として石井中太ゴシック体(DGKL)が検討された。
しかしながら石井中太ゴシック体は本蘭細明朝体に比べて字面が小さかった。そこで、漢字も含めてそのまま字面を大きくして、細部を調整した石井中太ゴシック体L(DGL)が制作された。その後、電算写植機では本蘭明朝Lと石井中太ゴシックLが基本書体となった。

DG-L.jpeg

石井中太ゴシック体Lが作られたのは入社前のことなので、具体的にどのような制作方法だったかはわからない。入社後の状況から想像すると、光学的に拡大して、フィルム原字で修整したのだと思う。写植会社だけに、写真処理の技術は優れていたのだ。なお、メインプレートやサプトン用文字盤の原版は、写研で開発したマスターマシンという機械を使って製作していた。

のちに本蘭ゴシックを開発したとき、当初は本蘭明朝に合わせたデザインにしていたが、社長より石井中太ゴシックに合わせるように指示があり、大幅なデザイン変更があったと聞いている。
posted by 今田欣一 at 10:12| 活字書体打ち明け話・2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする