そのときの「レタリング専科」のテキストを見てみますと、今では見られない技術もありますが、基本的なところでは今でも十分に通用するのではないかと思います。
1 教養基本編
■ 勉強のはじめに ■デザインとレタリング ■文字と書体 ■文字の組み立て
2 和文技術編(上) ※漢字のレタリング
■ 技術編のはじめに ■原字体とその練習 ■用具・用法・用材 ■明朝体とその構造 ■割り出し ■運筆(筆順)
3 和文技術編(下) ※かなのレタリング
■ ひらがな・カタカナ ■カタカナの基本点画 ■ひらがなの基本点画 ■「かな」のスタイルブック
※レタリングの関連として、当時のデザイン技法についても書かれています。
■応用技術の実際 ■特殊技法
4 英字技術編(上)
■アルファベットの書体 ■字体構造と書き方 ■基本書体 ■スクリプト(筆記体)
5 英字技術編(下)
■書体とデザイン ■変化と方法 ■基本書体2 ■オーナメント(装飾体) ■制作と実際
6 作品応用編
■作品と鑑賞 ポスター、表紙・装釘、小型印刷物、新聞・雑誌・広告、パッケージ、ディスプレイ、マーク、タイトル
ほかに副教材として、『デザイナーとして世に出るまで』と『当用漢字/明朝体辞典』がついていました。『デザイナーとして世に出るまで』は今読み返すと当時の状況がわかるので懐かしく思いました。また『当用漢字/明朝体辞典』はレタリングからタイプフェイスデザインへとつながるものですが、この10年後に写真植字機の会社に入社することになろうとは思ってもいませんでした。
レタリング技能検定の試験は、2012年(平成24年)4月1日から、これまでの「財団法人実務技能検定協会」から「公益財団法人国際文化カレッジ」へ移管され、現在も継続して実施されています。
通信教育での「レタリング講座」は見かけなくなりました。近い将来、新しい技術に対応した講座が開講され、タイトルデザインやロゴタイプ、シンボルマークなどのレタリング分野がますます発展することを願っています。