2013年12月23日

初号活字をつくろう! December 2013

日時: 2013年12月22日(日) 15時15分−17時15分
場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト

やっぱり手画きでやろう
10月の段階では、「デジタルだけどアナログの心」的なことで、Adobe Illustrator を使ってすすめようかということになっていたが、「typeKIDS」のメンバーから「紙に墨で画くという昔ながらの方法でやろう」という意見が出た。
 最終的にはデジタル・タイプではなく、物体としての活字製作をめざしているのである。できるだけパソコンのソフトウェアを使わないで、手作業ですすめようということになった。本格的な鋳造活字は予算的に無理なので、できるだけそれに近いものを作って、実際に活字組版をしたいと考えている。詳細はまだ未定である。

専用の原字用紙について
原字用紙(兼下書き用紙)のデータをAdobe Illustratorで作成する(ここはパソコンを使う)。プリントして下書き用紙とし、鉛筆で下書きする。もう一枚を原字用紙として、下書きをアウトラインでトレースして、墨入れをする。できた原字を仕上げて、チェックを繰り返しながら、メンバーみんなで完成させていく、という方法になった。
 先月の打ち合わせでは、原字用紙(兼下書き用紙)は2inchボディ・サイズで、1/18inch(約1.41mm)方眼で薄いブルーのガイドラインを入れることにし、A4サイズに12文字入るようにレイアウトすることになっていた。これが、インチという不慣れな単位ということもあり、まだ完成していないとのこと。
 作業開始は来年に先送りということになった。

和字書体だって分担する
11月に漢字書体の分担を決めたが、肝心の原字用紙(兼下書き用紙)のデータがまだなので、実作業には入れない。そこで和字書体の分担を決めた。漢字書体より、和字書体をさきにすすめようということになった。
 和字書体はひとりで担当することが多い。そうでないと全体的なイメージが統一できない。それを承知の上で、「貘1973」は、ひらがな、カタカナをそれぞれ4名で分担することにした。このプロジェクトが「書体制作の体験」を主眼においていること、商品化することはないということで、あえてグループ制作に挑戦してみることになった。

参考:
今月は、日本タイプライター株式会社で「平成角ゴシック体」を制作されたAさんにお話をうかがうことができた。日本タイプライター株式会社は1917年(大正6年)創業以来、和文タイプライターを生産・販売してきた会社である。
「平成角ゴシック体」のアナログ原字は、おもにAさんとその上司にあたる方の2人で制作されたそうだ。上司にあたる方は大ベテランで、金属活字やタイプ活字の原字も制作されていたのだろう、「平成角ゴシック体」の制作工程は、金属活字のそれを踏襲しているようであった。
 原字サイズは、2インチの近似値である50mmボディだったそうだ。まず、トレーシング・ペーパーに下書きし、さらに別のトレーシング・ペーパーに清書する。その上に硫酸紙を重ね、レタリング・ゾルというインクで、雲形定規や烏口でアウトラインを描き、筆で塗り込む。修整はホワイトを用いず、削りとったそうである。

………
後日、できてきた専用の原字用紙。
type2-1.jpg
※下書き用と墨入れ用を兼用する。
posted by 今田欣一 at 12:18| 事始◇ワークショップへようこそ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする