場所: 新宿区榎町地域センター 小会議室
内容: 初号活字をつくろう! 「貘1973」制作プロジェクト
◎まずは、専用の原字用紙をつくろう
写真植字用の原字用紙(写研)は、基本的には48mmボディ・サイズだった。1mm方眼の薄いブルーのガイドラインを入れていた。これとは別に16分割(3mmきざみ)のラインを入れたフィルムを用意して、位置の確認用に使っていた。
「貘1973」の原字用紙は2inchボディ・サイズで作成することにした。1/18inch(約1.41mm)方眼で薄いブルーのガイドラインを入れることにした。プリントしてのチェックに便利なようにA4サイズに12文字入るようにレイアウトすることにした。
この用紙をプリントして、紙に鉛筆で下書きする。これをスキャンして下図にし、Adobe Illustratorをもちいてトレースする。できた原字をプリントして、チェックを繰り返しながら、メンバーみんなで完成させていくという方法である。
◎漢字の書体見本をつくろう
最初に制作するのは、書体見本の12文字である。1973年に私が描いたレタリングをもとに、あらためて原字用紙に画いてもらうことになった。
その際に、簡単な仕様(字面サイズの基準、ウエイトの基準)を決めておいた。
字面サイズの基準
標準字面はボディ枠から12pt、最大字面はボディ枠から2pt
ウエイトの基準
横画 6pt、竪画 6pt
◎自分の名前を画こう
この書体見本に合わせて、好きな漢字を画いてみることにした。
とりあえずは自分の名前が組めるようにしたい。「田」とか「子」とかは重複してしまう。何も同じものを複数つくる必要はないので、誰か一人が担当するようにした。ほかに、自分の好きな熟語や漢詩が組めるように、重複することのないように調整しながら、名前も含めて12字を選んで下書きをしてみることになった。これが出発点で、すこしずつ増殖させていくやり方である。
[参考]活字製作の工程を学ぶ
このあと、朗文堂 アダナ・プレス倶楽部の特別企画で、真映社・安形製作所・築地活字の協力のもとに、2008年秋に開催された「実践活字母型彫刻」体験のレポートをみることにした。この企画に参加していたメンバーから話を聞きたかったのだが、残念ながら欠席だったので、各自がスマートフォンをみながら感想を述べ合うという奇妙な勉強会となった。
1 活字原図製作(体験)と活字パターン製造(依頼)
2 ベントン型彫刻機による五号活字母型の彫刻(体験)
3 活字鋳造を依頼(見学)
もちろん、「貘1973」制作プロジェクトにおいて、実際にこのような工程で活字を作るということは、もはや実現不可能であるが、できるだけ活字製造の技術をふまえながら、じっくりと制作を続けていきたいと思ったのだった。