まず日本書道教育学会の「ペン習字教育講座」(1981年9月30日修了)を受講しました。毛筆は好きではなかったのですが、「書道基礎科講座」(1985年3月31日修了)、「書道専攻科講座」(1988年1月31日修了)とつづけて受講しましたよ。さらに同じ日本書道教育学会の「篆刻入門講座」(1989年4月30日修了)を受講しました。ま、成績はよくなかったけどさ。
やはり欧字も……と思いましたが、日本書道教育学会にはカリグラフィーはありませんでした。そこで、1990年代に入ってから、日本カリグラフィー協会CLAの「カリグラフィー講座」も受講することにしました。これは修了しませんでしたが、得るものは少なくなかったと思っていますよ。
活字書体設計者には、書道の素養は必要なのでしょうか。
小学校の「書写」は国語科にふくまれています。中学校でも国語科にふくまれているのです。小学校では楷書だけだったけど、中学校では行書がくわわり、また、漢字とひらがな・カタカナの調和がもとめられています。目的や必要に応じて調和よく書くこと、読みやすく速く書くことがあげられています。つまり小学校と中学校では「書写」であって「書道」ではないのです。その目標は活字書体設計にも共通するようですね。
(ア) 文字を正しく書くこと。
(イ) 文字の形を整えて書くこと。
(ウ) 読みやすく書くこと。
高校になると、芸術科のなかに「書道」としてふくまれます。「書道」となると、国語科の「書写」とはまったく異なる目標があげられていますね。
〔書道1〕 書道の幅広い活動を通して、書を愛好する心情を育てるとともに、感性を豊かにし、書写能力を高め、表現と鑑賞の基礎的な能力を伸ばす。
〔書道2〕 書道の創造的な諸活動を通して、書を愛好する心情を育てるとともに、感性を高め、書の文化や伝統についての理解を深め、個性豊かな表現と鑑賞の能力を伸ばす。
〔書道3〕 書道の創造的な諸活動を通して、生涯にわたり書を愛好する心情と書の文化や伝統を尊重する態度を育てるとともに、感性を磨き、個性豊かな書の能力を高める。
したがって活字書体設計の基礎を考えるうえでは、「書道」ではなく「書写」について、さらに深めていく必要があるのではないかと。ただ通信教育では「書写」の講座はありませんでした。「書道」の講座で、「書写」を学ぶという気持ちで通信教育を受講しました。結果的には、「書道」の講座をやってよかったと思っています。
作品制作ということにはまったく興味がなかったので、競書誌「ペンの力」や「不二」への出品はすぐにやめてしまいました。まあ、身に付かなかったことの言い訳なのですけどね。