2023年07月11日

[余聞2]ナールファミリーと平成丸ゴシックの間で

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1995年の広告では、本蘭アンチックU(本蘭A明朝U)、本蘭ゴシックUと並んで、ナールUが掲載されています。「Uの時代」としてウルトラボールドのウエイトを取り上げていますが、いずれの書体もファミリーとして計画されていました。
今からみれば、本蘭アンチック、本蘭ゴシックと来たら、「本蘭丸ゴシック」を並べたいと思われるかもしれません。しかしながら、当時、丸ゴシック体といえばナールファミリーが人気だったので、ゴナに匹敵するファミリー化を進めることにしました。

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ですので、本蘭丸ゴシックUの発想すらありませんでした。どこを探しても「本蘭丸ゴシック」という名称すら見つからないと思います。

本蘭丸ゴシックが企画されなかったもう一つの理由として、同時期に平成丸ゴシックを制作していたことが挙げられます。結果的に、私が直接制作したのは、この平成丸ゴシックの和字書体だけということになりました。

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平成丸ゴシックがあれば、あえて本蘭丸ゴシックを制作する必要性がなかったというだと思います。平成丸ゴシックは写研からは発売されませんでしたが、多くのベンダーから、平成明朝、平成ゴシックとともに発売されています。

posted by 今田欣一 at 20:52| 活字書体打ち明け話・2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月01日

[余聞序]「貘」の里帰り

2023年5月9日。卒業以来46年ぶりに母校、九州産業大学芸術学部を訪れました。ソーシャルデザイン学科の伊藤教授のゼミに飛び入りで参加させていただき、楽しい時間を過ごすことができました。

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第1時限目は、学生時代に試作していた「貘」をめぐって、「書写・レタリング(作字)・タイプフェイスデザイン(活字書体設計)の相違点と関連性」ということでお話ししました。学生時代の話が盛り上がったので、第1時限目はこれだけで終わってしまいました。「貘」のポストカードを皆さんに差し上げて、やっと「貘」を母校でお披露目することができました。

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第2時限は、書体制作方法の変化と継承、活字書体の著作権と使用許諾、タイプファウンドリーのビジネスとしての現状など、ソーシャルデザイン学科ということで、直接的な書体の話ではない方向での質疑応答になりました。
posted by 今田欣一 at 08:03| 活字書体打ち明け話・序 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする