2017年9月30日(土)、桑沢デザイン研究所で開催されたイベント「佐藤敬之輔 再考 明日のタイポグラフィを考える」を聴講しました。150名集まり、大盛況でした。
第1部は浅葉克己氏と小宮山博史氏のトークセッション。一番弟子の浅葉氏と三番弟子の小宮山氏によって、佐藤敬之輔氏の業績や思想、エピソードが楽しくホットに語られました。
『タイポグラフィ01』(日本タイポグラフィ協会、1978年)、『タイポグラフィ02』(1979年)には佐藤敬之輔氏による「新しい本文用明朝体の設計」が掲載されています。月曜会(佐藤氏、桑山弥三郎氏、小塚昌彦氏、森啓氏、吉田佳広氏)で基本構想が練られ、小宮山博史氏も制作に参加されたそうです。このときの話では、『タイポグラフィ』誌と『佐藤敬之輔記念誌』でテスト版が使われただけで、リョービRM–1000細明朝体としては発売されなかったそうです。
第2部はアートディレクターとタイプフェイスデザイナーによるシンポジウム。
パネラーのプレゼンテーションに時間がとられて、佐藤敬之輔氏についての話がほとんど出なかったのは残念なことでした。
石井茂吉(1963年没)氏は生前、「佐藤君には参るよ! 熱心で熱心で」と、笑いながら話していたそうです。佐藤敬之輔氏は石井茂吉氏の仕事場をよく訪ねていました。意外とウマが合っていたようです。
写真は『石井茂吉と写真植字機』(1969年)と『佐藤敬之輔記念誌』(1982年)。
佐藤敬之輔氏が書いた文章として「書体の原点」(『印刷タイムズ』、1974年6月11日、18日号)と「書体の回帰と展開」(『印刷タイムズ』、1974年7月31日号)があります。どちらも佐藤敬之輔記念誌に収録されています。
43年前(1974年)に書かれた文章ですが、現在のタイプフェイスデザインの方向とタイプフェイスデザイナーの姿勢を問われているように感じます。
佐藤敬之輔「書体の回帰と展開」より抜粋。