(この記事は1990年に書いたものを掲載しています。英語がさっぱりわからないので、以下の記述には間違いがあるかもしれません。悪しからず)クライスト・チャーチ(Christ Church)ぼくたちが宿泊したクライスト・チャーチ(Christ Church)では、デジタルタイプに関するワークショップが開催されていた。それまでは筆と墨で書体設計を行っていた。コンピューターとは無縁だったので、とても新鮮に感じられた。
書体設計(Type design on the Macintosh)1990年9月2日 13:30-15:00
(スケジュール表にチェックしていたのだが、その講義内容については残念ながら記憶していない。ビデオにも写っていないし、写真も撮っていない)講師はロバート・スリムバック氏である。スリムバック氏はアドビ・システムズのタイプ・デザイナーだった。ITCおよびアドビのオリジナルとしての活字書体を設計している。彼の設計した書体には、ITC スリムバック、ITC ジョバンニ、ユートピア、アドビ・ギャラモン、ミニオンなどがある。
資料によれば、マッキントッシュでの書体設計を、開発されたミニオン・ファミリーを取り上げて、実際にマッキントッシュでのソフトウェアを操作しながら説明するということになっている。
ぼくが会社でコンピューターを使う機会はなかった。書体設計・制作はアナログでおこない、それをデジタルに変換するという考え方が支配していた。デジタル化のセクションは関係者以外の立ち入りを禁じられていた。
書体工房(Type studio)1990年9月2日 15:15-16:15
(こちらはビデオに映像が残っているので、確かに聴いている)同じ会場でジョナサン・ホーフラー氏のワークショップがあった。ホーフラー氏の宝物は6歳の時に父親の事務所から無意識に奪い取った活字見本帳であるという。そのときから活字への熱狂が始まったそうだ。現在(1990年当時)はニューヨークで、タイポグラフィを専門に扱う小さなデザイン・スタジオを運営しているということだ。
ホーフラー氏は、羽根ペンからパンチ・カッターに至る歴史にたいして、コンピューターによる活字設計を「革命」と位置づけた。ホーフラー氏の講義は「全体論的マッキントッシュ・タイプ・ワークショップ」というテーマが、プロジェクターからうつしだされてはじまった。
フォントグラファーというソフトウェアをもちいて、アウトラインのコントロールやサイドベアアリングの調整がいかに効率よくおこなえるかということを強調した。それは参加者がコンピューターによる電子活字の設計への移行を決意させようとするものであった。
帰国後、ぼくは個人的にイラストレーター(Adobe Illustrator)、フォトショップ(Adobe Photoshop)、ストリームライン(Adobe Streamline)、ページメーカー(Aldus PageMaker)のほかに、書体設計に必要だと思われるソフトウェアとして、フォントグラファー(Altsys Fontographer)を揃えたのだった。