2019年10月13日

佐藤敬之輔のタイポグラフィに関する著作

佐藤敬之輔氏のタイポグラフィに関する代表的な著作を紹介する。

タイポグラフィ(活字組版術)について

『日本のタイポグラフィ 活字・写植の技術と理論』
(佐藤敬之輔著、紀伊国屋書店、1972年)

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目次T
1. タイポグラフィとは
2. 日本文の活字表現
3. 活字の種類と性格分析
4. 書体
5. 組みの基本
6. レイアウト(割付け)
7. 内容表現への要求
8. ページ物レイアウト
9. 印刷効果
10. レイアウト原則
11. 可読性研究
12. 漢字の単化

※このほか、下記のような目次もあり、理解しやすくする工夫が見られる。
目次U 技術項目の索引
目次V How to 索引
目次W 書体見本・組み見本・タイポグラフィ実例


佐藤敬之輔氏は、本書で「活字という物体は印刷機械の部分品である、と同時に組んで印刷すれば文章として読まれるものになる」と書いている。
typeKIDSで行なう活版工場見学や写植工房見学では、タイポグラフィの基本を再確認することを目的としている。そして、typeKIDSの今後の活動内容も、本書の「活字・写植の技術と理論」以降のデジタル・タイプセッティングを含めた検討を行なっていこうと考えている。
なお、佐藤敬之輔氏は「広義のタイポグラフィ」として、手書き(書字)や、木版印刷、ロゴタイプなどのレタリング領域も含めている。おそらく日本レタリングデザイナー協会を日本タイポグラフィ協会に改称するにあたって、その会員の大半を占めるレタリングデザイナーに配慮し、「広義の…」という考え方にしたのではないかと勝手に想像している。筆者は、この点については賛同できない。
posted by 今田欣一 at 09:39| 羅針盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月06日

佐藤敬之輔の活字体設計に関する著作

佐藤敬之輔氏の活字体設計に関する代表的な著作を紹介します。
文字デザイン、レタリングと表記されていますが、内容はおもに活字体設計を扱っています。和字書体・欧字書体・漢字書体を、それぞれ別にしてまとめていることに共感します。

和字書体の歴史とデザインについて

『ひらがな 上』(佐藤敬之輔著、丸善、1964年)
『ひらがな 下』(佐藤敬之輔著、丸善、1965年)
『カタカナ』(佐藤敬之輔著、丸善、1966年)

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ひらがなとカタカナの歴史を辿り、明治から昭和に至るさまざまな活字書体を蒐集・分類しています。和字書体については、他に例が少ないので、私はこれらの書物にたいへん注目しています。

目次:
〈ひらがな 上〉
平仮名の歴史/書体の時代区分/活字書体以前(毛筆書体)/活字書体/現代の代表書体/他
〈ひらがな 下〉
平仮名の設計理論/著者設計の書体/著者設計の書体サンプル/活字書体
〈カタカナ〉
片仮名の歴史/明治以来の活字、写植の代表的書体/設計理論/著者設計の書体サンプル/書体目録/歴史および現代の代表的活字書体/石井写真植字書体/カナモジカイ書体



欧字書体の歴史とデザインについて

『英字デザイン』(佐藤敬之輔著、丸善、1969年)〈新版〉

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英字書体の基礎知識や制作技法を豊富な見本・実例図版を交えて解説しています。佐藤氏は英字書体と言っていたようですが、私は、英語だけではなく、フランス語、ドイツ語、スペイン語などのヨーロッパ各国語を含めて、欧字書体というようにしてます。

目次:
書体の名称/書体とその目的条件/アルファベットの起源/オールドローマン/字配り〈1.スペーシング、2.ライン、3.書体と字配りの歴史〉/書体の目的と機能について/アルファベットの設計分析〈1.サンセリフ(ヘルベチカ)、2.モダンローマン(ボドニ)、3.スクリプト(パレス)〉/書体見本と解説/等



漢字書体の歴史とデザインについて

『漢字 上』(佐藤敬之輔著、丸善、1973年)
『漢字 下』(佐藤敬之輔著、丸善、1976年)

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漢字の歴史を辿り、中国の漢の時代から現代に至るさまざまな活字書体を蒐集・分類しています。

目次:
〈上巻〉
漢字の史的展望 /漢字の特殊性 /漢字の時代区分 /印刷時代の漢字 /フリーハンド書体 /明朝体 /ゴシック体 /装飾体 /現代の代表書体 /漢字書体集 〈3cm70字、4cm210字、6cm24字〉
〈下巻〉
漢字設計理論/漢字活字書体の源流 /活字のサイズと字づらの大きさ /エレメントからの構成/漢字の構成/格子構造の骨組構成 /線幅とウエイト/標準漢字2000字


posted by 今田欣一 at 14:15| 羅針盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月20日

「佐藤敬之輔 再考 明日のタイポグラフィを考える」感想

私が活字書体に興味を持つきっかけとなったのは、高校時代に同人誌の編集をはじめたことです。そして大学時代に活版印刷と写植に出会ってタイポグラフィの基礎を学びました。その頃、佐藤敬之輔著『日本のタイポグラフィ』(紀伊国屋書店、1972年)を読んでいたなあ……となつかしく思い出しています。

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2017年9月30日(土)、桑沢デザイン研究所で開催されたイベント「佐藤敬之輔 再考 明日のタイポグラフィを考える」を聴講しました。150名集まり、大盛況でした。

第1部は浅葉克己氏と小宮山博史氏のトークセッション。一番弟子の浅葉氏と三番弟子の小宮山氏によって、佐藤敬之輔氏の業績や思想、エピソードが楽しくホットに語られました。
『タイポグラフィ01』(日本タイポグラフィ協会、1978年)、『タイポグラフィ02』(1979年)には佐藤敬之輔氏による「新しい本文用明朝体の設計」が掲載されています。月曜会(佐藤氏、桑山弥三郎氏、小塚昌彦氏、森啓氏、吉田佳広氏)で基本構想が練られ、小宮山博史氏も制作に参加されたそうです。このときの話では、『タイポグラフィ』誌と『佐藤敬之輔記念誌』でテスト版が使われただけで、リョービRM–1000細明朝体としては発売されなかったそうです。

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第2部はアートディレクターとタイプフェイスデザイナーによるシンポジウム。
パネラーのプレゼンテーションに時間がとられて、佐藤敬之輔氏についての話がほとんど出なかったのは残念なことでした。
石井茂吉(1963年没)氏は生前、「佐藤君には参るよ! 熱心で熱心で」と、笑いながら話していたそうです。佐藤敬之輔氏は石井茂吉氏の仕事場をよく訪ねていました。意外とウマが合っていたようです。

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写真は『石井茂吉と写真植字機』(1969年)と『佐藤敬之輔記念誌』(1982年)。

佐藤敬之輔氏が書いた文章として「書体の原点」(『印刷タイムズ』、1974年6月11日、18日号)と「書体の回帰と展開」(『印刷タイムズ』、1974年7月31日号)があります。どちらも佐藤敬之輔記念誌に収録されています。
43年前(1974年)に書かれた文章ですが、現在のタイプフェイスデザインの方向とタイプフェイスデザイナーの姿勢を問われているように感じます。

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佐藤敬之輔「書体の回帰と展開」より抜粋。
posted by 今田欣一 at 20:16| 羅針盤 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする