2013年07月27日

[東池袋KIDS]1997年:星屑のステージ

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●『日経デザイン』(1997年1月号)

 事務所開設の少し前のことである。デジタルパブリッシング・ジャーナリストの柴田忠男さんから取材の申し込みがあった。柴田さんとは、杏橋達磨さん主宰の勉強会で挨拶しただけだったので驚いた。

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●「デジタルフォント開発の現場から」冒頭のページ

 そのときの記事が『日経デザイン』(1997年1月号)の「デジタルフォント開発の現場から」である。株式会社タイプバンク、有限会社字游工房などとならんで、私(会社設立準備中だったので個人名になっている)も取り上げていただいたのだ。

 ここに提案しているオリジナルタイプフェースは、人間味を大切にしているという。デジタルの時代でも、文字は人間の手が生み出すものだと考えているそうだ。フォントベンダーに気に入ってもらえれば、独占的使用許諾の契約を結び、開発費用を出してもらうわけである。幸い一部の書体のフォント化が実現しそうである。


 現実的に商品化されたのは「イマリス」と「ぽっくる」にとどまった。これらはフォントベンダーの要望に沿ったものだ。私が本当に制作したかったものは、「すでに販売されているものと競合する」、「このような書体は社内で制作する」ということで不採用だった。
 フォントベンダーとは「見出し用の派手な書体」でしか契約できないとわかったとき、自主販売への道をさぐることになった。同じような考えをもった人に出会うことができ、まず株式会社ベクターの「プロレジ」というシステムを利用することにした。のちに、「ほしくずや」として他のダウンロード・サイトへ展開していくことになる。
 また、硬筆書体として試作した「欣喜楷書」、「欣喜行書」、「欣喜隷書」は、とりあえず漢字1006字だけの試用版として、無料頒布しようと考えていた。
2014年7月24日改訂

posted by 今田欣一 at 09:04| 東池袋KIDS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年07月24日

[東池袋KIDS]プレリュード:東池袋に繰り出そう

 1997年2月24日、ぼくは「有限会社今田欣一デザイン室(Kinichi Imada Design Studio Inc. 略称KIDS)を設立した。場所は東京都豊島区東池袋のマンションの9階の一室である。1997年4月1日が実質的なスタートとなった。

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●当時の事務所の様子

 ベランダからは、近くに雑司が谷霊園の緑、遠くには新宿の高層ビル群が臨めた。地下鉄有楽町線の「東池袋駅」と都電荒川線の「東池袋4丁目駅」から歩いて2、3分のところであった。

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●ベランダから見た風景

 それからの4年間、デジタル・タイプの原字制作を中心に、池袋コミュニティカレッジでの講座、オンデマンド出版など、東池袋を舞台に展開していった。個人的には、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)と日本タイポグラフィ協会(JTA)の会員にもなった(現在は退会している)。いろいろな人との出会いがあった。順調な滑り出しだった。

 東池袋時代に制作した書体は「イマリス」と「ぽっくる」である。「イマリス」(imagineとAliceの合成か)は株式会社ニィス(エヌアイシィ株式会社に統合)の依頼により、「ぽっくる」(「ぽっちゃり」と「くるり」の合成か)は、リョービイマジクス株式会社(株式会社タイプバンクに委譲)の依頼により制作した。フォントワークス・インターナショナル(フォントワークス株式会社に委譲)では、最終的に総合書体の採用はなかった(和字書体として「はつひやまと」「わかばやまと」「みのりやまと」を制作)。

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●「ぽっくる」の使用例
「こねこねこね」(早瀬亮著、二見書房、2013年)

 書体制作以外にも、池袋コミュニティカレッジでの講座、オンデマンド出版という挑戦を試みたが、いずれもうまくいかなかった。力不足ということにつきる。
 事務所を開設した直後に、西武百貨店の池袋コミュニティカレッジから「講座をやらないか」という話をいただき、1997年4月から書体制作の講座を開講した。その後、受講者が少なくて途切れたりしながらもほそぼそと継続した。結局、講座を継続できる人数に達しなくなったことから、2009年に講座を閉じた。
 事務所設立と同時にウェブサイトを立ち上げた。そのとき書いていたエッセイを、株式会社ブッキングの協力でオンデマンド出版したのが『タイプフェイス・デザイン事始』(2000年6月1日発行)である。つづいてメールマガジン『週刊Rejoice!』でのエッセイをまとめた『タイプフェイス・デザイン漫遊』(2000年9月1日発行)、さらに株式会社コムクエストの依頼で執筆した『タイプフェイス・デザイン探訪』(2000年12月1日発行)も、それぞれオンデマンド出版した。残念ながらほとんど売れないまま現在では絶版状態である。

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●池袋コミュニティカレッジでの発表展示会(2007年)

 東池袋の事務所に4年間いた。ちょうど20世紀のおわりの4年間である。この4年間の直接的な成果は「イマリス」と「ぽっくる」の制作しかない。池袋コミュニティカレッジでの講座、オンデマンド出版は、結果的に失敗に終わっている。
 しかしながら、この時期に受けた外部からの刺激によって、その後の書体制作の方向のきっかけとなった重要な4年間なのである。
posted by 今田欣一 at 08:43| 東池袋KIDS | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする