2017年02月12日

ほしくずやA くみうたの物語

札幌市厚別区にある「北海道開拓の村」は北海道百年を記念して設置された野外博物館で、1983年(昭和58年)に開村した。北海道の開拓の過程における生活と産業・経済・文化の歴史を示す建造物等を移設、復元して保存している。
ビジターセンターは1873年(明治6年)に建てられた「旧開拓使札幌本庁舎」を再現したものである。開拓当時の情景も再現して、北海道の開拓の歴史を身近に学ぶことのできるほか、開拓時代当時の年中行事の再現や、当時の遊戯文化や伝統技術の伝承活動も行っている。


明治時代の木版教科書、『中等国文 二の巻上』(1896年、東京・吉川半七藏版)に所収されている「択捉島」(近藤守重)などの本文は楷書体だが、「蝦夷よりの手紙」(近藤守重)は行書体なのだ。
彫刻の味わいが残るいい書体だと思った。毛筆で書かれた文字が、彫刻刀でなぞられることによって力強さが加味されたようだ。じんわりと好きになってきた。
欧字書体のローマン体とセットになったイタリック体を思い出した。そこで楷書体と行書体、それぞれに組み合わされることを想定した和字書体を制作することができないものかと考え、楷書体と組み合わせる和字書体を「ゆきぐみ」、行書体と組み合わせる和字書体を「はなぐみ」として制作した。

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さらに昭和初期の地図『東京』(1934年、大日本帝国陸地測量部)の等線の手書き文字を参考にして、隷書体と組み合わせることを想定した和字書体を加えた。これが「つきぐみ」である。漢字書体の楷書体・行書体・隷書体をむすぶ書体の一族が誕生したのである。
「ゆきぐみ」を明朝体に、「つきぐみ」をゴシック体に組み合わせる和字書体を同じコンセプトで制作することにした。「ゆきぐみラージ」「つきぐみラージ」である。漢字書体の楷書体・行書体・隷書体にくわえて、明朝体・ゴシック体をふくみ、それぞれがファミリーを形成するという今までにない壮大な構想ができあがった。

これらの総称を「くみうた」クランとした。「くみうた」(組唄)とは、三味線や琴で既成の歌詞をいくつか組み合わせて1曲に作曲したものである。「くみうた」クランは、和字書体のみとした。
日本語を組むためには漢字書体、欧字書体も必要だが、これらは他社の書体との混植することを前提にしている。どこか特定のメーカーということではない。主要なメーカーを、「くみうた」クランでつないでいくということなのである。
同じウエイト表記であっても、メーカーによって微妙な違いがあるので、たとえば「モトヤフォント用」「イワタフォント用」というような、各メーカーに対応したバリエーションを、微調整しながら作るという方向もあるのではないかと思う。
posted by 今田欣一 at 08:43| 星屑のステージ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする