2014年07月19日

[見聞録]第4回 紅蘭楷書と紅蘭宋朝の魅力

紅蘭細楷書の繁体字・簡体字版が制作されたあと、日本語版の紅蘭細楷書が、同時に制作されていた紅蘭中楷書とともに橋本和夫さんを中心に制作されていた。この漢字書体と組み合わされる和字書体も、橋本さんの手で新しく設計されたものである。
 橋本さんの設計された書体としては、本蘭細明朝(本蘭明朝L)が挙げられることが多い。つづいてナールなどのプロデュースが語られる。紅蘭楷書について触れられるものをほとんど見ることはない。だが、個人的にはこの紅蘭楷書の和字書体が橋本さんの代表作ではないかと思うのである。

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 紅蘭楷書の和字書体設計にあたり、漢字書体の雰囲気に合わせ、実際に毛筆で全文字を書いてみたそうである。書にも精通する橋本さんでなければ、このような味わいのある書体はできなかっただろう。
 紅蘭細楷書、紅蘭中楷書につづいて、紅蘭太楷書、紅蘭特太楷書も加わり、楷書体のファミリーとしては最も充実したラインナップになっている。

同時に、紅蘭細宋朝の繁体字・簡体字版も制作された。残念ながら日本語版の紅蘭細宋朝は制作されなかった。もしも紅蘭細宋朝の和字書体を橋本さんが設計していたらどのような書体だったのだろうか。今となっては想像するしかない。


ついでながら、曽蘭隷書の和字書体も、活字書体としての隷書体の和字書体の規範となるべき書体であろう。

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私も2003年にリョービイマジクス株式会社(現在リョービ株式会社)の依頼により、「花胡蝶」「花蓮華」「花牡丹」の和字書体を設計したことがある。台湾で制作された漢字書体と調和する和字書体を設計する機会を与えられたことに大きな喜びを感じていた。
 橋本さんによる紅蘭楷書の和字書体と曽蘭隷書の和字書体を目標として、少しでも近づければいいなと思いながら取り組んだのである。
posted by 今田欣一 at 08:20| 見聞録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする