2016年09月26日

中学校で学んでいること

われわれが扱う文字は、書写・レタリング・タイプフェイス(活字書体)デザインの3種類に大別できます。個別の教科だけではなく、複数の教科を横断してみてみると、この3種類はすべて中学校で習っているのです。


書写
光村図書『中学書写』から

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書写は、中学校の国語科のなかの『書写』で学習しています。光村図書の教科書『中学書写』は1年から3年まで使うようになっています。
(1)漢字
漢字では楷書と行書を学びます。楷書では漢字の筆使い、漢字の字形などを学びます。行書では点画の方向や形の変化、点画の連続という項目に加えて、点画の省略や筆順の変化も学ぶことになっています。
(2)和字(かな)
和字(かな)では「楷書と調和するかな」「行書と調和するかな」の2書体を学ぶことになっています。ここで重要なのは「楷書のかな」ではなく、「楷書と調和するかな」としていることです。
(3)欧字(アルファベット)
欧字(アルファベット)として本格的なものはありませんが、ペン字の資料として、アルファベットと数字の手本が掲載されています。


レタリング
光村図書『美術1』から

レタリングは美術科で習います。光村図書の教科書『美術1』では「文字をデザインする」という項目で、漢字・和字・欧字のレタリングが取り上げられています。わずか2ページですが、「自然の美」というタイトル文字を描くという例があげられています。

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タイプフェイスデザインとタイポグラフィ
光村図書の教科書『国語1』から

タイプフェイス(活字書体)デザインに関しては直接的ではありませんが、教科書の本文そのものがタイポグラフィ(活字組版術)であり、国語だけではなく、すべての教科書でタイポグラフィ(活字組版術)に接していることになります。

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光村図書の教科書『国語1』では、「書体の特徴」として記されているページがあります。明朝体を「読みやすさを考えてデザインされた書体」、教科書体を「文字を書くときの見本となるように考えられたデザイン」、ゴシック体を「目立つことを優先させたデザイン」としています。
このように書いているにもかかわらず、本文が学参用の明朝体になっているのは残念なことですが……。

英語の教科書では欧文のタイポグラフィに接することになります。

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2016年09月23日

国文学研究資料館「書物で見る日本古典文学史」

2016年9月21日(水曜日)
国文学研究資料館「書物で見る日本古典文学史」
ギャラリートーク 恋田知子助教

上代(奈良時代)から明治時代の初期までの文学を、教科書でなじみの深い作品を中心に、写本の表情や、版本の風合いに触れながら、豊かな日本古典文学史をたどるという企画でした。

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数名の女子大生(たぶん)とともに、恋田知子さんのわかりやすい説明を聞きながら、1時間ほど展示を見てまわりました。

展示内容
T 上代の文学 文学史では平安時代より前を上代と呼ぶ
U 中古の文学 文学史では平安時代を中古と呼ぶ
V 中世の文学 中世は12世紀末から16世紀までを指す
W 近世の文学 近世は17世紀初頭から19世紀後半までを指す
X 近代の文学 近代は明治時代以降をいう
(今回の展示は「日本古典文学史」ということなので、書写された、あるいは出版された年の順ではなくて、その古典文学が書かれた年代順になっていました)

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特設コーナー
カタカナ本とひらがな本
個人的に注目したのが、カタカナ本とひらがな本の両方で出版された書物でした。たとえば『平家物語』は、江戸初期の古活字版でカタカナ本とひらがな本が並行して出版されているのです。江戸時代になると、本来はカタカナで出版されていた軍記や宗教の本などがひらがな本でも出版されるようになったということです。同じ文章でも、カタカナ本とひらがな本ではイメージがまったく異なっていました。

もうひとつの通常展示「和書のさまざま」は3月に訪れましたが、合わせて見ることで、さらにわかりやすくなると思いました。
posted by 今田欣一 at 21:53| 文字する時間 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする